ベビーパウダーの缶と風水との奇妙な関係
子供というものは、よく、大人から見れば理由の判らないものを恐がったり、面白がったりする ものだが、私の場合は特にわけが判らなかった。私が幼少期恐かったもの、それはなんとベビーパ ウダーの缶だったのだ。 その缶は蓋に『LION BABY POWDER』という紺色の文字と赤ちゃんのイラストが 描かれており、側面も同じく紺色の文字が、(但し今度は『ライオン・ベビーパウダー』と片仮 名で)入っているというだけの何の変哲もない代物だった。既に中身(ベビーパウダー)は無く、 母が針差しを入れるのに使っていたと記憶している。 当時の恐怖を他人に判るように説明する事は難しい。しかし、夢にまで現れたくらいだから、余 程恐かったのだろう。なぜか夢の中にでてくる缶は、近付くと唸ったり吠えたり(!)した。何ゆ えに私はそんなものを恐がっていたのか…?長い間この事は謎のままだった。しかし最近、風水関 連の本を読んでいて、解明に繋がるヒントを見つけた。 風水学的に見ると、青字というのは縁起の悪いものらしい。看板等で店名や会社名を青字にする と『冷えて』しまうので、ライトをあてるなどして『暖める』必要がある、そうな。なるほど、子 供の頃、名前を青字で書くと早死にするとか不吉だとか言っていたのは、あながち嘘でも無かった のか。 これが本当だとすれば、幼少期の私は『紺』という色彩の持つ、不吉なイメージを感じ取ってい たのだろう、と考えることができる。(もっとも、この場合は蓋に書いてあったのが“幼い私には 解読不能な”英語であった、という部分も大きいだろうけれど…。)少なくとも、あの缶の文字に 使用されていたのが、紺でなくピンクなどの柔らかい色であれば、あんなに恐がるような事は無かっ たに違いない、そう思えるのだ。 ところで以前、M大学と短大部の看板が黒字から青字に変わった…途端に学科が幾つか減ったの だが、関係あるのだろうか。うーん…おそるべし、青字。 |