証拠は挙がっている



 犯人は依然として名乗り出なかった。
(ふう…)
 つい先程捜査一課の課長に就任したばかりの溝口は深々とため息をついていた。この事件
はある意味、彼が警察官になって以来の難事件といえるかもしれない。眉間に刻まれた皺が、
それを物語っていた。
 といっても、彼は全く手掛かりを掴めないが故に頭を悩ませているわけでは無い。
 実は彼には、大体の目星はついていた。長い刑事生活の中で培ってきた勘と、何物をも見逃
さない鋭い眼が、またたく間に動かぬ証拠を探り出していたのである。が、他でも無く彼を悩
ませていたのは、犯人が自分の部下であるという事実だった。まさかこの課の中にそのような
人間がいようとは…。しかし、彼自身が探り出した“決定的な証拠”を見る限り、それは揺る
ぎない事実として映るのだ。
(この中に私を裏切ったものがいるというのか…?)
 彼の心境は複雑だった。
 犯人とて、自分の所業がバレていることくらい、うすうす感づいているに違いない。心ある
ものならば、溝口の鋭い眼光に、自分を見る悲しみに満ちた眼差しに、気付かない筈が無い。
それならば、せめて犯人の良心を信じ、自ら名乗り出るチャンスをやろうと考えていたのだが…
(仕方ない)
 彼は、とうとう意を決して席を立ち、ゆっくりと歩いて行った。やがて、ある人物の前まで
くると、ぴたりとその足を止めた。

 「おい、歯に青海苔ついてるぞ」

それを聞いて、咄嗟に手で口を覆ってしまったのは、なんと、この中で最も若手の村上巡査
であった…!
 溝口は、はっきりとした口調で言った。

 「俺のソース焼きそば食ったの、お前か」


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